職場における熱中症対策の強化について
【熱中症に関する労働安全衛生規則の一部改正について】
熱中症の重篤化による死亡災害防止を目的として労働安全衛生規則の一部が改正され、事業者に対し体制の整備などが義務付けられました。
- 公布日:2025年4月15日
- 施行日:2025年6月1日
労働安全衛生規則 第3編 第5章 温度及び湿度(第606条~に第612条の2が追加されました)
(熱中症を生ずるおそれのある作業)第612条の2 事業者は、暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に従事する者が熱中症の自覚症状を有する場合又は当該作業に従事する者に熱中症が生じた疑いがあることを当該作業に従事する他の者が発見した場合にその旨の報告をさせる体制を整備し、当該作業に従事する者に対し、当該体制を周知させなければならない。 2 事業者は、暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、作業場ごとに、当該作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせることその他熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置の内容及びその実施に関する手順を定め、当該作業に従事する者に対し、当該措置の内容及びその実施に関する手順を周知させなければならない。 |
【事業者に義務付けられたこととは?】
事業者に対し義務付けられたのは、「報告体制の整備」「実施手順の作成」「関係労働者への周知」です。事業者は、2025年5月31日までに報告体制の整備と実施手順の作成を行ったうえで周知し、施行日の2025年6月1日より実施しなければなりません。
1.早期発見のための報告体制を整備し、関係作業者へ周知すること
熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、「熱中症の自覚症状がある作業者」「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」がその旨を報告する体制(連絡先、担当者など)を事業場ごとに定め、関係作業者へ周知しなければなりません。
<熱中症を生ずるおそれのある作業とは?>
WBGT(湿球黒球温度)28度以上または気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上または1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるものとされています。該当するか否かの判断に際しては、WBGT値のみでなく気温によって判断することも可能です。現場の実情に応じて適切な対応が必要です。
2.重篤化を防止するための措置の実施手順を定め、関係作業者へ周知すること
熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、熱中症の症状悪化を防止するために必要な措置内容、実施手順を事業場ごとに定め、関係作業者へ周知しなければなりません。
▼措置/実施手順の例
- 作業からの離脱
- 身体の冷却
- 必要に応じて医師の診察または処置を受けさせること
- 事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先および所在地など
【管理者向けの教育について】
コベルコ教習所では、高温多湿作業場所において作業を管理する方及び労働者の方を対象とする熱中症予防労働衛生教育を開催しています。
熱中症に関する基本知識、リスクアセスメント、作業環境管理、救急処置などについて学ぶことができます。
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「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」について
熱中症予防対策の徹底を図ることを目的に、厚生労働省が関係団体などと連携してキャンペーンが実施されます。実施要項では、キャンペーンを通じ全ての職場において対策要綱に基づく基本的な熱中症予防対策を講ずるよう広く呼びかけるとともに、つぎの重点的な対策の徹底を図ることとされています。
- 暑さ指数(WBGT)の把握とその値に応じた熱中症予防対策を実施すること
- 熱中症のおそれのある労働者を早期に見つけ、身体冷却や医療機関への搬送等適切な措置ができるための体制整備等を行うこと
- 必要に応じて医師の診察または処置を受けさせること
- 糖尿病、高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有する者に対して医師等の意見を踏まえた配慮をおこなうこと
準備期間:2025年4月/実施期間:2025年5月1日(木)~9月30日(火)/重点取組期間:2025年7月
詳細は厚生労働省公式サイトをご覧ください。
▼「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン(職場における熱中症予防対策)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116133.html